インクルーシブ教育について


 今日わが国の教育界では「インクルーシブ教育」の推進が声高に叫ばれていますが、インクルーシブ教育は国際連合において採択された宣言の一つ「ノーマライゼーション」と深いかかわりを持っています。

 1959年、国際連合は児童権利宣言を採択し児童の社会保障享受の原則、障害児が必要とする治療、教育、保護提供の原則を明らかにしました。続いて1971年には「知的障害者の権利宣言」を採択し、「ノーマライゼーション」をうたいました。
 「ノーマライゼーション」とは、障害を抱える人々がその障害ゆえに不利益をこうむることがないように、教育訓練施設の充実、健常者と同等の権利を享受できる法的保護措置などにより、障害者が他者と同質の社会生活を送ることができる枠組み(共生社会)を指します。

 この「ノーマライゼーション」の考え方は、2006年になって国連総会で「障害者の権利に関する条約」として採択され、翌年わが国はこれを批准しました。それと相前後して2006年に障害者自立支援法を制定、最近では「インクルーシブ教育」の推進を障害児教育の基本方針と定めて教育現場の改革に乗り出しています。

 「インクルーシブ教育」とは、障害児と健常児を分け隔てなく共に学校生活を送ることができる教育環境を整えるものです。こうした環境が障害児に対する適度な刺激となってその発達を促すとともに、健常児の障害者理解を深めることにもなり、「ノーマライゼーション」の実現に大きく近づくと期待されます。

 当学園は五十年前の学園創立以来、障害児特に自閉症児を積極的に受け入れ、健常児との日常的交流を通じて双方に教育効果をもたらす「混合教育」を行ってまいりました。当学園の「混合教育」はその本質において「インクルーシブ教育」そのものであり、当学園はわが国における「インクルーシブ教育」のパイオニアなのです。

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