校長の独り言【34】 



著書『ダメ人間はいない 学校で生徒はかわる』2002年より
第三章 新米校長のとらえている日本の教育の現状
○多様化過ぎて、迷ってしまう15歳の進路
 中学校卒業後の進路の多様化には著しいものがある。私自身の中学校3年の時とは比べものにならない。当時、公立高校か私立高校かの二者択一が進路決定のすべてを占めていたところがあった。現在東京に15歳で入学できる学校はいくつあるのか、実数がつかめないのが事実である。そして、その情報も正確でないものがあるように思えてならない。
 中学生の進路チャートにあるように、現在東京には、文部科学省所管の学校が高等学校都立、私立合わせて約570校(都立高校の再編が進み年々変化している)、工業系5年制の高等専門学校が国立、都立、私立合わせて4校、高等専修学校が65校、専修学校一般課程が30校、各種学校が205校、表にはないが海外にある私立の高等学校が15校、それに、文部科学省所管外の学校として、職業技術専門校に代表される他の省庁所管の学校、そして、首都圏中心に最近急増している通信制の高等学校に在籍する生徒のレポート提出の手伝いを目的としたサポート校がある。残念ながら正規の学校ではないので実数はわからない。これをすべて合計すると、大体であるが900以上になる。つまり、東京の中学校3年生は、この900の中からひとつの学校を選ばなくてはいけないことになる。この状況下で正確な情報収集をした上で学校選択しないと、中退という結果となり、遠回りを余儀無くされてしまう訳である。本校にも毎年様々な事情で都立高校や私立高校を中退し、編入学してくる生徒がいるが、一人ひとりと話すと学校選びの段階で、やはり充分な情報がなかったと痛感させられる。
 本校は生徒を受け入れる側として、送り出す中学校の先生方との連携を更に密にすることが、正しい情報と認識につながり、生徒の遠回りを防げると考えている。
 私は毎年中学校より声をかけて頂き、各中学校で進路指導の一環として行われている上級学校説明会に高等学校の先生方と混じり講師として招かれ、高等専修学校の概要を話している。その時中学生に、「自分の個性を考え、友達が行くから、親が行けというからではなく、実際に学校に行くのは自分自身であることを忘れないで欲しい」、また「学校見学や体験入学に必ず参加し、自分が3年間生活し、人間として成長できる居場所・学校を見付けて欲しい」と必ず話している。
 しかし、まだまだ我々の努力不足のためか、毎年中学校の先生から「先生の学校はサポート校ですか」という質問があることも事実である。

校長  情報ID 14803 番  掲載日時 09/21/2006 Thu, 09:03