校長の独り言【67】 



 卒業生と言えば、もう30歳をすぎたある卒業生のことを先日ふと思い出しました。当時、私が教頭職的な仕事をしていた時でした。本校入学前から、家庭や学校でちょっとした問題を起こしていた生徒でしたが、決して悪い子ではなく、気持ちが弱いところから周囲に流されてしまうタイプの生徒でした。
 本校入学後も小さな問題を繰り返し起こし、担任や両親を心配させていたことから、1年生の後半ぐらいだったと思いますが、毎日下校前に職員室に寄り、その日の行動に対して反省文を書き、提出し、私と反省文の内容について必ず話をするルールを決め、かつ卒業式までこれを続ける約束をしました。残念ながら反省文を提出するようになってからも時々気持ちの弱さが露呈することもありましたが、何とか反省文に関しては卒業式前日まで約束通り続き、卒業後の進路も決まり、そして、卒業式の日に本人に反省文の綴りを手渡しました。その綴りは約20cm程度になっていました。本人は受け取りたくなかったようですが、お母さんからは「この反省文綴りは、我が家の家宝にします。」との言葉をいただきました。そして、数年後にお母さんにお会いした時に、しっかりタンスの中にしまってあるとうかがいました。
 この卒業生も、今は結婚し、2児の母親となり、妻と母親をしっかり務めているようです。そして、幸せな人生を送っているようです。

校長  情報ID 16400 番  掲載日時 12/07/2006 Thu, 11:56