校長の独り言【126】 



 平成19年度専修学校教育研究協議会に事前に提出いたしました、私の意見書を紹介いたします。

1.趣旨
 高等専修学校は、後期中等教育機関の中で必要な学種であることの再確認と、その振興のために、関係者並びに行政が一丸となった取り組みが始まることを強く願っています。
2.内容
専修学校制度が出来て30年余りが経過いたしました。この30年の歳月の中で高等専修学校こそが、時代の流れをいち早く察知し臨機応変に対応してきたと、私は胸をはって言えます。

1つ目は、中学浪人への対応です。
制度が出来た当初、15歳人口の多い時代であり、「15の春を泣かすな」の合言葉の中で、高等専修学校は公私立高校に定員の関係で入学を断念した生徒の大きな受け皿となり、多くの生徒に学習の場を提供しました。

2つ目は、高校中退、不登校生徒への対応です。
やがて、教育界では、少子化、学力低下・不登校・高校中退・学級崩壊・犯罪の低年齢化等の問題が毎日のようにマスコミが賑わすようになりました。その時に、高等専修学校は、高校中退や不登校の生徒をいち早く積極的に受け入れ、職業教育を通して、社会人としての資質、職業人としての技術・資格を身につけさせ実社会に送り出しました。
そして、このような問題解決のために、公立高校の改革が始まりました。東京でも都立高校改革の名の下で、新しいタイプの都立高校が誕生しています。中高一貫教育校(中等教育学校)、進学指導重点校、総合学科高校、単位制高校、チャレンジスクール等があります。今や、高校中退や不登校生徒の受け皿になっています。中には、無試験で、三部制で定時制の単位制高校であるエンカレッジスクールもあります。さらには自動車整備士、調理師、福祉の高校や、さらに東京版デュアルシステムを導入した高校と、つまり都立高校の高等専修学校化が顕著に窺えます。これは、高等専修学校が今ある教育界の諸問題に大きな教育効果を出している証であると確信しています。

3つ目は、特別支援教育への対応です。
平成19年度より国が推進しているものであり、小、中学校において、通常の学級に在籍しているLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する適切な指導及び必要な支援が行う趣旨のものであります。
 この背景には、平成16年6月4日に公布された障害者基本法の一部改正により、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない旨が規定されています。
 この特別支援教育は、現段階では小、中学校の義務教育段階のものですが、教育再生会議でも議論されているように、もうすぐ後期中等教育機関もその対象となるはずです(※既に、大阪の府立高校では取り組んでいます)。現時点で、障害のある生徒が在籍し、職業教育のみならず障害者雇用の推進を行っている高等専修学校は全国に数多く存在しています。ですから、この点に関しましても、既に高等専修学校は高等学校よりも早い対応をしているのです。

 この30年、高等専修学校はその時代の様々な教育に関する問題に、後期中等教育機関の中で高等学校よりもいち早く対応しているのです。しかし、後から高等学校が追いかけてきて、いつも追いつかれ、数の論理により飲み込まれてしまっているのが現実です。
 本日の協議会を契機に、後期中等教育機関の中で、教育諸問題の解決のために絶対的に必要な高等専修学校の存在を世に示す気運が高まることを願って止みません。



校長  情報ID 21419 番  掲載日時 10/18/2007 Thu, 08:11