校長の独り言【194】 



 平成19年9月に設置された「専修学校の振興に関する検討会議」(座長:丹保憲仁北海道大学名誉教授)の場で、12回にわたって専修学校のあり方について検討されていました。その結果が、11月14日(金)に「社会環境の変化を踏まえた専修学校の今後の在り方について」(報告)として文部科学省より発表されました。今後は、より総合的・多方面的な専門的な検討を行い得る場である中央教育審議会において、議論を深めていくことが適当。と今後の検討の方向性を示しているものでありました。
 平成14年度から我々全国高等専修学校協会としてこの運動を展開し、6年という時間はかかりましたが、やっとここまで来たかと思うと感無量であります。
 そもそも、この運動のきっかけとなったのは、ある生徒の作文でありました。
 それは、卒業文集制作委員長を務めたある卒業生の編集後記です。この卒業生は小学校より不登校が始まり、中学校3年間のほとんどを相談学級で過ごし、本校への入学を契機に3年皆勤を成し遂げ、一浪したものの無事に大学に進み、現在は夢であった仕事に従事し日々頑張っています。

 「この文集のテーマ『未来』は、武蔵野東技能高等専修学校で頑張ってきた3年間をいかに活かしていこうかといったものが感じられます。つまり我々○期生はこの学校が大好きになったし、未来も明るいものを考えられるようになっています。でも3年前はどのように感じていたでしょうか。
 この武蔵野東技能高等専修学校を受験しようと思ったとき、皆さんはどんなことを考え、どのように決断したでしょう。
 この学校は高等専修学校ということで高等学校ではありません。そのことをまず初めに悩んだのではないでしょうか。
 高等学校ではないということは、周囲や親戚や友達から高校にいけないから高等専修学校に行くことになったと思われるのではないかと不安を抱いたはずです。高校と同等という言葉は中3の時の私たちにとってなかなか信じられないものですし、今でも高等専修学校について正しく理解をしてくれる人は少ないと思います。私はそのことが、この学校で3年間過ごしていてとても悔しいのです。
 この学校には人を傷つけたりする人はいません。先生方はみなさん熱心ですし、先日、進路の先生から話があっように就職率が100%です。この不況の中で100%というのは私たちの学校の誇れるものの一つです。また、進学に関しても他校と比べてもなんの遜色もないものだと思います。
 そこで私は胸を張って言いたいのです、『高校と同等ではなく、この学校は生徒も先生も、雰囲気も伝統も、就職も進学も、他の高校以上です。』
 しかし、私だけがそう思っていても仕方がありません。私たち卒業生が、この先、どんどん社会で貢献し、高等専修学校というものを世界的にアピールしていかなければならないと思います。ですからこの文集『未来』は、私たちのこれからの努力を象徴するものだと思います。
 今後さまざまな壁にぶつかるかも知れません。そんなとき、この文集『未来』を開き、この学校で頑張ることのできた3年間を思い出してほしいと思います。」

 現時点では、当然まだ中央教育審議会での議論は始まっていませんので、何の結論も出ていませんが、学校だけでなく、子どもたちの心の中にある格差が解消されるかと考えると、私は余計に感無量なのです。だからこそ、頑張らなくてはいけないのです。

校長  情報ID 27759 番  掲載日時 11/20/2008 Thu, 11:29