衣食足りて礼節を知る 



 このことわざの意味は、「人は生活に余裕ができて、初めて礼儀や節度をわきまえられるようになる」ということです。つまり、衣服と食物は生活をする上での根本であるから、それらが満たされることによって心にもゆとりができ、礼儀を知ることができるものだということです。また、「礼節」とは、昔から日本で大切にされてきた言葉です。「礼」とは、相手を尊重し自分を謙遜し行いを丁寧にするということで、この「礼」を時に則し、場合に応じた自分の行動ができるようにわきまえることが「節」です。この礼節を知って初めて一人前の人間といえるのだそうです。

 相手を尊い自分がへりくだるとは、自分も友達も周囲の人も大切であり、なくてはならない存在なのだという認識を持つことだと思います。自分が必要であるという自己肯定感から謙遜の心が育まれ、友達や周囲の人の良いところを認めることができていきます。まさに、日々の学校生活の中にある「混合教育」がそれにあたります。お互いに「違って良い」「同じでなくて良い」ということを学び、相手の良いところを認め、認め合っていける環境があるのが東小学校です。

 そこから「尊敬や謙遜」という気持ちが育っていくのだと思います。家庭で子どもの良いところを認めてあげることはもちろんですが、会話の中に子どもの友達のことを入れて、親が自分の子どもとの比較をするだけでなく、友達のことを認めてあげる言葉を伝えることで、相手への尊敬の気持ちも育ってくるのだと思います。

 「時に即し、場合に応じて行動できる」ように、怒られる、注意されるということで行動を抑制してきた幼児期から、自分で考えて行動することを学んでいくのが小学校時代です。さらに「わきまえる」ことは非常に難しく、何度も失敗を繰り返したり注意されたりした経験から、自粛、自制という概念ができてきます。これらのことは、学校と家庭との協力体制があってこそです。そこから、一人前の人間に育っていくのだと思います。

 昨日は暦の上で「節分」、今日は「立春」です。節分を境に冬が終わり新しい春になる季節の節目です。節目を大切に、一日一日を大切に過ごしたいものです。

木村 修二  情報ID 52440 番  掲載日時 02/04/2013 Mon, 19:01