校長の独り言【421】 



 武蔵野東学園むらさきOB会会報
「むらさき草」 第20号 2013年3月発行

「20周年おめでとうございます」
武蔵野東技能高等専修学校 校長 清水 信一

 むらさきOB会 設立20周年おめでとうございます。
初代会長をお務めになりました安村さんから「学園を巣立って行った後も、学園とのつながりを持ち続けたい、心のよりどころであって欲しい。」とのご提案を頂き、安村さんと私とでOB会設立の話し合いを行いました。私からは、「学校はどうしても在校生が主体となるので、OB会は、役員選出、事業推進等は自主運営をお願いしたい、ただし、事業に関してはお手伝いできることは協力します。」と申し上げ、平成4年 1992年5月に、むらさきOB会が設立されました。

 設立当初から代々の役員の皆さんのご尽力により、見事な自主運営がされ、有意義な事業展開がなされてきました。OB会設立当初は、親亡き後の対応がメインとなり、グループホームに関する研修会や見学会、更には資金調達のためのバザーも盛んに行われました。やがて平成18年に、学園がグループホーム、ケアホームの運営をはじめると、「成年後見制度」の研修会開催へと移行していき、そして現在のように変化してきたのです。
この20年で、一回だけOB会に大きな転機がありました。それは、平成22年度です。現役のむらさき会員数よりOB会員数が多くなり、卒業生の年齢幅も18才から45才と、会員同士でも世代の違いから、顔と名前が一致せずに、役員選出も困難な時代を迎えていました。このような状況の打破と、会のよりスムーズな運営を目的に、役員選出基準を明確に打ち立て、更には、事業のスリム化を図り、未来永劫、「むらさきOB会 」の存続を願っての転機でありました。

 OB会設立前より、私も卒業生との接点の機会を探っていました。そして、第1期生が卒業して2年後の1991年(平成3年)より、私の音頭取りで卒業生を対象としたスキー旅行を企画しました。幸いスキーに関しては、東小学校の3年生の時から本校を卒業するまでの間、毎年学校行事として経験していたので技術的にも問題はありませんでした。最終的には9回の卒業生スキー旅行を実施し、参加した卒業生はのべ301名になります。当然音頭取りの私一人では対応出来ないので、先生方にボランティアをお願いしたところ、先生方も私の主旨をすぐに理解してくれ、休みにもかかわらず積極的にボランティアに応じてくれ、スキー旅行を通して卒業生との交流を楽しんでくれていました。そのボランティアの先生方ものべ102人にのぼります。当然教師も一人の労働者であり、当然休日の権利はある訳ですが、このようにして自分の休日を卒業生のために提供してくれる先生方が本校にはたくさんいる事は、私の一番の誇りであります。
 
 さらに、ボランティアであるので当然無償でありますが、参加費をボランティアでありながら卒業生と同様にいただいていたものもありました。これは、1998年(平成10年)の12月21日から25日に実施した親子グアム旅行であります。このグアム旅行は、卒業生の保護者の方々から、「どうしても障害のある子であると、なかなか一般のツアーに入り海外旅行を楽しむことが出来ないので、先生の方で何か企画していただけないか」と言う声から実施したものでありました。37人の卒業生とその保護者の方々と13人の教員とその家族で合計50人のツアーが実現しました。その際参加された方々より、「こんなに楽しい旅行はなかった、次回もよろしくお願いします。」と言われたことから、懲りずに海外旅行の第2団ハワイ旅行を2001年(平成13年)の12月21日から26日までの4泊6日で企画した。その年アメリカで多発テロがあり、アメリカへの旅行を控える方々が多くいる現状の中、私も今回のハワイ旅行の中止を考えましたが、保護者の方々から「もし万が一テロに遭遇して死ぬようなことがあっても、私たちはこの子といっしょに死ねるのなら本望です。ただ、先生もいっしょに死ぬことになるので、その点だけが申し訳ない。」という話をいただき、私はこの一言で実施を決断したのです。テロのことが決して頭から離れることはありませんでしたが、実に楽しい旅行となりました。この旅行に参加してくれた先生方は、当然10数万円の費用を払ってのボランティアでありました。
 どうでしょうか、このように勤務外のことにこんなに積極的に、こんなにたくさん、またお金まで払って協力してくれるのは、本当に生徒を愛しているからこそできる事ではないでしょうか。
 このボランティアだけでなく、すべてにおいて卒業生、在校生を問わず生徒を第一に考えてくれる先生方を本当に素晴らしいと思っています。

 キヨ先生ご逝去の後、我々教職員は更に一丸となり、自閉症教育、生活療法を、三歳から十八歳の教育カリキュラム確立、そして、卒業後のフォロー指導体制、余暇活動への支援、親亡き後の自立のためのグループホーム、ケアホームの運営、「成年後見制度」、更にキヨ先生の夢→ユートピアを構想と、学校法人、学校としては全国的にも他に例のない体系を作り出してきました。
このように、夢は実現しつつあります。私といたしましても大変大きな喜びであります。

 そして、平成26年度には、本学園も開校50周年を迎えます。ですから、子どもたちの学園を巣立った後の人生のために、今まで以上に、「むらさきOB会 」と「武蔵野東学園」がしっかり連携していくことが最も重要であると考えています。

 最後に、「むらさきOB会 」の益々の発展をお祈り申し上げます。
そして、更なる夢の実現のために、「武蔵野東学園 創立50周年記念事業」へのご支援を切にお願い致します。

校長  情報ID 53823 番  掲載日時 05/11/2013 Sat, 09:19