慈悲と我欲 



 仏教の開祖である釈迦は、「幸福は他人の幸福を願う気持ちから生まれる。不幸は自分の幸福ばかりを願う気持ちから生まれる」と教えています。この言葉は、慈悲の心と我欲の心を表しています。

 慈悲とは人の気持ちに共感し、人を楽にしてあげ、人の苦しみを取り除くように努力する心のことです。一方我欲とは、自分にとって都合の良い利益だけを求め、自分だけ幸福であれば良い、自分だけがいい思いをしたいという自己中心的な心です。

 この我欲を持った人は、一時的には他人を押しのけて利益や物を独占し、いい思いをするのかもしれませんが、そんな人に協力する人は誰もいなくなり、やがては孤立し結局は寂しい人生を送ることになるでしょう。

 反対に慈悲を持った人は、大きな満足感のある人生を実現できるでしょう。一時的には人の幸福のために時間を使ったり、人と利益を分かち合ったりすることで、多少の損をしているようにも思いますが、周りの人たちからは大切にされます。もしその人が災難にあったりしたら、援助の手が必ず差しのべられると思います。

 子どもたちには学校生活を通して、周りの人たちへの気配りや思いやりは、けっして無駄なものではなく、やがてはその努力が自分に返ってくることを学んでほしいと思います。

木村 修二  情報ID 62680 番  掲載日時 12/13/2014 Sat, 12:24