校長の独り言【551】 



 来年度、本校は開校30周年を迎えます。
 この記念すべき年に、30年間の教育の記録を先生方が懸命に整理をしてくれています。更には、卒業生の手記もたくさん集まってきました。その中の、私が感動した手記を特別に紹介させていただきます。

 武蔵野東高等専修学校○期生 A 

 武蔵野東高等専修学校が30周年を迎えるにあたり、私が貴校で3年間を過ごせたことを今、原稿用紙を前に大変誇りに感じつつ筆をとっています。私の近況は、貴校の卒業と同時に入社した会社で8年目を迎えており、忙しいながらも充実した日々を送っています。今、この様に社会人として8年目を迎えられたのは、まさに武蔵野東で過ごせた3年間のおかげであると確信しています。また、会社から6年目にハワイ旅行をプレゼントされ、働き続ける素晴らしさを強く感じる体験もできました。
 振り返れば、通信教育で高等学校の資格を持ちながら20歳という年齢で貴校に入学した事が、昨日の事のように思い出されます。不登校生であった私が、学校生活での様々な体験や出会い、更には、心のぶつかり合いを求め、勇気を振り絞って貴校に入学したのです。短大や専門学校ではなく貴校を選択したのは、高校の体験プラス、専門学校の体験もでき、更には、沢山の不登校生を立ち直らせてきた数十年の教育実績を信じたからです。また、入学前に1週間の体験入学もさせて頂きました。当然のことながら東に入学したのは、私の人生最大のチャレンジでした。
 入学当初、居心地の良い自分の家から出て、学校というプレッシャーのかかるステージに舞い戻った事を大変後悔しました。けれど、自閉症のMさんのバディをさせて頂き、誰かの役に立てる喜びや純粋で努力家のMさんの事を知れば知るほど、自分の弱さを知ると共に自分自身の自信を少しずつ高め、成長していくことが出来ました。また、私と同じように不登校を経験した仲間たちが、私の背中を押してくれました。在学中の私にとって武蔵野東の混合教育、そして不登校経験者に対するやればできるといった教育は、人生最高の教科書となっていきました。また、スピーチコンテスト、合唱コンクール、紫峰祭、スポーツ大会、臨海学習、スキー教室、ハワイ学習といった様々な行事の中で、気付かないうちに社会性や人間力が培われて行ったのだと感じています。また、貴校の素晴らしいものの一つとして「1人の生徒の担任は、全教員である」といったスローガンのようなものがあります。30人を越える全ての先生が私の名前を覚えてくれていて、毎日毎日、「Aちゃん、元気」、「A、凄いじゃないか」「Aさんは、やればできるんだから」といった言葉をかけて頂いた事も感謝に堪えません。更に、素敵な友に囲まれ水族館に行ったり、映画を見に行ったりと校外での楽しい思い出も沢山出来ました。また、3年生の時、約1年間家庭から離れて友愛寮で過ごさせていただき、自立という意識と、離れてこそわかる家族の大切さや温かさを再認識させていただきました。
 当然のことながら、在学中、「身体がきつい、のんびりしたい、心が苦しい」といった場面もありましたが、それこそが、学校生活であり、それを体験させて頂いたからこそ、今、社会人となった私にとって大きな財産となっているわけです。今、武蔵野東での思い出は、私の最高の道標になっています。
 今後の武蔵野東高等専修学校の発展を心よりお祈り申し上げます。

校長  情報ID 69177 番  掲載日時 02/26/2016 Fri, 09:18