園まつりを終えて ~年中編~ 


元にもどそう
この子は体操が上手なんですよ。
いつもそばには動物たちが…

 楽しかった園まつりが終わり、子どもたちが元気に登園してきました。“祭りのあと”の幼稚園は、賑やかさの名残があちこちにあり、でもたしかに“祭り”は終わっていて…なんともいえない空気が漂っています。
 そこに登園してきた子どもたちが一番にしたことは、パトロールでした。幼稚園の中がどうなっているのか。あのお部屋は?あっちのお部屋は?自分の目で園舎内外の様子を見て状況を確認し、やっと一呼吸。そして、ある子がパトロールを終え、ゆり組に戻ってきて言った「さぁ、どうする?」という一言が、私にはとびきり素敵に聞こえました。雰囲気がいつもと違うことでなんとなく落ち着かない気持ちになり、確認をして安心し、状況を把握した上で今日からの生活をどうしようかと考える。その子が幼稚園を“自分の生活の場”とはっきりと感じていること、だからこそ自分で(自分たちで)この場をどうしていこうかと考えようとしていること。その姿、その姿勢にまた新しい成長を見た気がしたのです。


 その「さぁ、どうする?」には、私より先に周りのお友達が答えていました。
「動物、連れてこようか」「そうだね!」
「机はどこいった?」「あれっ!ないね。」「どこいった?」「先生!机はどこ?」
「おままごとはあっちにいっちゃってたから…もどす?」「二人で持てばできそうだよ!」
…生活の場を整えるには、やらなくてはいけないことがたくさん!その一つ一つに気付いて、できそうなことに取り組んでいました。もちろん、子供たちだけでは気付かないこともあります。そんな時には「あ、そういえばいすはみんなの分あるのかな~…」などと保育者が大きめにつぶやいて気付きを促し、子どもたちが気付いた所で「すごい!そんなことにも気がついたの!」なんて驚いてみせる…というような援助もしてみました。


 そんな風にして、みんなで力を合わせて少しずつ園まつり前と同じ、元通りの生活の環境を整えていきました。園まつり前とひとつ違うのは、連れて帰ってきた動物たちを置く場です。園まつり前から自分たちで作った動物と一緒に色々なことをして遊んでいました。でもやっぱり、子供たちの心の中には“園まつりで飾るんだ”“年中さんみんなで動物園をつくるんだ”“園まつりでたくさんの人に見せるんだ”という気持ちは大きくて、私も、作品とたくさん一緒に遊んでほしいという思いとはまた別の所で、“展示する作品”としても大切にしてほしいという思いを持っていました。そういう訳で、園まつり前は棚や机の上に動物たちが過ごす(置く)場を作り、一緒に遊ばない時にはそこにもどせるようにしていました。園まつり後は、子どもたちと同じ高さに動物たちが生きることで、より子供たちと動物たちとの距離が縮まり、愛着が深まっていくのではないかと思い、保育室の床にシートを敷いて動物たちが集まれる場を用意しました。「このシート何?」と誰かが聞くかな、と思っていましたが、聞く子はおらず、動物を連れてくると自然とそのシートの上に動物を置き、いつの間にかその場になんとなく「どうぶつはらっぱ」という名前まで付き、動物たちもそこで伸び伸びと過ごしています。願いをもって環境づくりをしていくことの大切さ、そうすることで楽しさがぐんぐん広がっていくことのうれしさを、子どもたちと共に過ごしながら改めて感じました。


 動物を連れてあちこちへお散歩へ行ったり、動物を連れた友達同士でごっこ遊びをしたり、「もっとリボンをつけたいの?じゃぁ、つけてあげる!」と、動物の気持ちを聞きとって(?)更に装飾をしたり、「かっこよく描くからね!」と、動物を横に置いて絵を描いたり。園まつり後も思い思いに動物との時間を過ごしています。
 

 一つ一つの過程にじっくりと向き合いながら製作をすすめて完成させた、自分だけの特別な作品は、それぞれの大切な相棒になったようです。製作過程での葛藤も喜びも分けあった子供たちと動物たちとは、深い絆で結ばれているのでしょうね。



 
 年中の秋のある時期に、あなたが特別大切にしていた友達は、この動物だったのよ。…いつか大きくなった時にそんなことを聞いたらみんなはどんな顔をするのでしょうか。その時のみんなの顔を想像して幸せな気持ちに包まれながら、今年の園まつりを思い出にしていきたいと思います。どうぞご家庭でも、子供たちと動物との絆を大切にしてあげてくださいね。

 
 うれしい楽しい、大成功の園まつりでした。園まつり後の子供たちの様子をお伝えするとともに、保護者の皆さまからいただきましたたくさんのご協力に感謝いたします。



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ゆり組担任  情報ID 72994 番  掲載日時 11/29/2016 Tue, 16:40