題字  野田 彰先生

武蔵野東学園広報 第12号 【オンライン版
平成15年(2003年)3月8日発行

180-0013 東京都武蔵野市西久保 3-25-3
Tel. 0422-54-8611㈹ Fax. 0422-51-0267
http://www.musashino-higashi.org

 学園トップページへ

 十四年度は武蔵野東にとって
        どんな年であったか

                                                                 学園長  野田 彰 

目  次

 十四年度は武蔵野東にとって
        どんな年であったか
         学園長  野田 彰

学園総合
 こころの二人三脚
  ~東京・武蔵野東学園 
       自閉症児と級友たち~
 NHKスペシャル「こども・輝けいのち」
 2003年7月13日(日)午後9時より《予定》

 創立40周年記念事業募金

 創立40周年記念ロゴマーク募集


 

    『東だより』 バックナンバー

 

 

 

 

 

 


幼稚園 「まめまき」

小学校 「稲作 代掻き」

中学校 「職場見学 BMGジャパン」

高等専修学校 「コンピュータの授業」
 《時代的背景
 昨年は同時多発テロ~対タリバン空爆に象徴される悲劇の年といわれました。それに続く今年十四年(02)年度は試練の年といわれ、今も大量破壊兵器のイラク査察や、一連の北朝鮮問題、いつどこで発生するかわからない自爆テロ、その他難民・貧困問題など、世界中が試練に立ち向かっています。
 日本では不景気・デフレが続きリストラや失業、食品の偽装、犯罪の低年齢化、幼児虐待など暗いニュースの続く中に、ワールドカップサッカーや拉致問題の一部前進、ノーベル賞のダブル受賞、さてはアゴヒゲアザラシのタマちゃんのことなど、明るい話題もいろいろありました。
 教育の面でも話題の多い年でした。教育基本法に関する審議は今も継続されていて、中教審だけでなく教育改革国民会議でも議論が続けられています。公立の小・中学校の新学習指導要領実施で学習内容が三割減、ゆとり、五日制、総合的学習、絶対評価、学力低下の問題などがいろいろ論議されました。また、学区制の見直しや、学期制の検討、民間人を教員に登用、株式会社による学校経営などは、教育特区的な考え方による動きとみられ、公立の私学化の傾向助長に影響を与えています。
 私学ブームが続いているのは、教育の質とその校の独自性の輝きによるものです。私学の独自性を形成している教育特区的性格を意識し、少子化時代に生き続ける知恵をさらに身につけていかねばなりません。

武蔵野東学園の十四年度
 国の内外の多事多難さに加え、身の回りの不景気、デフレは国民の生活を圧迫していますが、教育の仕事はゆるがせにはできません。武蔵野東では、二年後に創立四十周年を迎えるということを意識し、緊張感をもって新年度を踏み出しました。年度初めの園児・児童・生徒の総数は一六九六名(治・四三一名)で、少子化時代にめげぬ底力を感じさせてくれました。
 教育改革の動向への対応は一歩二歩世間に先んじたものもあれば、今までの手法を踏襲し独自性を高めたものもあり、調和した学習計画の中に子どもたちはいきいきと積極的に活動し、明るい雰囲気の中に、幼・小・中・高それぞれに後述のような成果を見ることができました。
 教育の向上発展には教職員の研修が欠かせません。幼小中高での研究会の他に、学園全教職員の研究組織があり、度々の会合で討議したり発表に耳を傾けたりしています。今年は学園内教職員研修として公開授業を高等専修学校と中学校で実施し、幼小中高の相互理解や相互支援のための有効な企画となりました。

幼・小・中・高の十四年度
 幼稚園で取り組んだ今年の指導の重点は昨年とほぼ同じ「子どもたちにとって望ましい生活を家庭との連携の中で育む」としました。この重点については、幼稚園だよりで毎月の目標を提示したり、保護者会での話題にして話を深めたりしてきました。また本年度の試みとして、第一幼稚園では「朝の遊び」をテーマに研究的に取り組み、第二幼稚園では子ども自身が遊びを見つけられるような環境づくりを課題にしました。交流では、クラス間の交流が活発に行われるだけでなく、年長児と小学校児童との交流や、中学校や高等専修学校の生徒との交流も意欲的に行われました。保護者への情報提供は親切にこまやかにと心掛け、園だより・学年だより・クラス便りなどを発行してきました。今後も家庭とのよりよい連携という視点から工夫を重ねます。保護者の方々による後援会の組織的な活動の他、ボランティア的なガーデニングクラブやお話の箱(読み聞かせなど)・コーラス部・ソーイングクラブ・元気メール・体操クラブ・交通安全クラブなど、広汎な側面から保育を支えてくれています。預かり保育や課外教室も各人のニーズに応えています。本年特記したいことは近隣の方々との関係です。十二月の餅搗き大会には臼を貸して下さったり十余人の方々が来園され餅搗きの指導をして下さるということがありました。かねてから願っていた地域との関係が深まったことは、まことに嬉しいことです。

 小学校に昨年、待望の家庭科・図工の専科教室が四十周年事業のおかげで完成し、新しい意気ごみで十四年度をスタートさせました。今年度の重点を、昨年より継続の「表現」と、新しく「調和と融和」「個をみつめる」の三つに定めました。とくに融和は四月の初めからCDEとAB組の話し合いが盛んになり各学年に応じた趣向で相互理解の仲よし活動を展開しました。学校全体の温かい雰囲気から保護者のA~E組までの学年懇談会の開催となったり、自閉症理解のための学校新聞の発行にまで発展しました。「個をみつめる」では、自分の長所や友達の良いところ探しをする取り組みとなり、友達の理解を深め広めることになりました。このことは学園祭の各学年の展示で広く知らされました。また、職員の指導報告書には、今までになく子どもの個人のことが書かれるようになったりしました。この他にも、小中一貫の実を挙げると共に、児童が東中学への理解を高めるよう取り組みました。その中で、すべての学年が中学校に行くCanDayや、東中学校体験講座は児童に好評でした。コンピュータ室の増改築とそれに伴う受付の移動は皆から歓迎されています

 中学校の指導の重点は、三学年にわたる長期の総合的な学習の「生命科」との取り組みです。去年に続く重点ですが、二年の福祉の内容に障害を組み入れたり、保護者に対する研修も実施したりなど改善が加えられています。この「生命科」は東京都提供番組「はじめのいっぽ!」の取材を受けて十一月四日にテレビ東京で放映されました。重点の「始業前十分間読書」やCDEクラスの「買い物」・「会話」などにも効果が見られています。生徒~児童の相互理解を深めるための新しい試みが意欲的に実施されました。その主なものとして、中学教職員による児童の指導、小学生対象の東中公開体験講座(近隣の四市の各小学校に教委を経由して体験講座のチラシを配布)などが挙げられます。部活動の活躍にもすばらしいものがあり、ダンス部の都中学校ダンス選手権大会で総合優勝(八年連続九回目)などビッグタイトルを五つも獲得。マーチングバンド部の都大会銀賞、陸上競技部の小金井市市陸上競技大会で優勝八種目、その他の部もそれぞれに輝かしい成績を記録しています。毎日カップ「体力つくりコンテスト」優秀賞(二年連続受賞)も名誉なことでした。

 高等専修学校の重点は、従来の方向を踏襲して①進路指導の充実(職業観の育成)、②自己開示と表現力の強化を掲げました。保護者の会で見事に運営されているのは後援会主催の保護者茶話会で、各学年とも出席が多く、自閉児や健常児の保護者間の交流が実に好ましい行事として定着しつつあるのは嬉しいことです。本年度の特筆すべき事項は、来年度設置の体育科のカリキュラムや法的手続きが終了したこと、NHKによる一年間の継続取材が毎日行われ十五年七月NHKスペシャルとして放映が予定されていること、文芸社より清水校長の「ダメ人間はいない、学校で生徒はかわる」及び天宮教諭の「ラグビーボールを抱きしめて」の著書が出て本校教育の真髄が紹介されたことなど、すべて本年の活発な雰囲気の中で生まれたものです。

おわりに
 時代のうねりや社会の変動の中に学校があり、教育は世界から超然とするわけにはいきません。十四年度を振りかえってみて、この難しい時代を元気にたくましくよく生き抜いてきたと思います。この一年間を実によく頑張った、伸びた、蓄えたとも言いたくなります。そして皆さんと一緒に、次の見事な開花を楽しみにしたいと思います。
 

(C)2000-2004 Musashino Higashi Gakuen
武蔵野東学園
180-0013 東京都武蔵野市西久保 3-25-3
Tel. 0422-54-8611  Fax. 0422-51-0267