東だより 武蔵野東学園広報 第2号 H11(1999)12.17発行


情報発信と教育発信

学園長 野田 彰

 ずっと以前は手に入る情報も限られていたし、情報という言葉に馴染みもあまりありませんでした。カタカナ語が氾濫する時代になってインフォメーションという言葉が身近になり、情報という言葉の概念が広がったりしました。
 

 保護者の皆さんが求められている情報の中には、子どもや教育に関することがあると思います。なかでも、日々通っている幼稚園や学校のことが大きな部分を占めているのではないかと思いますが、そのようなニーズに学園は応えているかどうか、いちどお訊ねしたいと思っているところです。
 保護者の皆さんに向けて定期的に出している学園からの情報にはいろいろあります。幼稚園だよりや各校からの学校通信、学年だより、友愛会関係のものとか、ほかに連合後援会だより、学園からの東だよりなどもあります。必要に応じて発行しているお知らせや報告、連絡、お願いなどを含めると、年間で大変な量になります。
 それらの情報の中には、重複しているものがある場合があります。たとえば大きな行事である11月の学園祭はそうです。学園祭のことは、それぞれのたよりや通信で報じられていましたが、その記事の切り口は異なっていました。受け手の皆さんは、その行事の全容だけでなく、具体的な事例やニュアンスから、子どもの興味関心事までも読み取られていることと思います。子どもに応じた親のニーズに応えることに役立つならば、単なる重複ではないと私たちは考えています。

 皆さんの中には、学期や月1回ではなく週毎に情報をと望んでいる方がいるかもしれません。やがてインターネットが各家庭に備わるようになれば、学園関係のホームページを開くとこまやかな情報がいつでも即座に入手できると期待している人もいるかもしれません。
 このような発信伝達が至れり尽せりの情報といえるかどうか  私にはささやかな経験があります。40年ほど前に小学校1年生の担任になった時、入学当初1か月間を限って、学級通信を毎日即日発行したのです。親たちの強い要請で1学期間続けることになったのですが、親たちがいうように懇切丁寧な学級通信だったかどうか、2学期になってひとつの結論を得たのです。それは、至れり尽せりの情報に頼ることのマイナス面についてでした。

 幼稚園や学校からの情報発信は、必要に応じて毎日の場合もあれば、手紙や電話により、時には個人宛の場合もあります。おたよりや通信について振り返ってみても、数年前に比してずいぶん増えていますが、これで充分かどうか日々反省しているところです。
 おたよりや通信などは、時には舌たらずであったり、ことがらや事実の報告であったりかもしれませんが、私たちは子どもへの期待や教育へのねがいをこめているつもりです。皆さんには、それを洞察し読み取っていただくならば、単なる情報発信ではなく将来をめざす教育発信となります。そのようになることを心よりねがっております。

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【学園総合】

秋晴れのもと、にぎやかに!
創立35周年 学 園 祭 

 11月13日(土)、さわやかな秋晴れのもと各園校で学園創立35周年を祝う記念式典が行われました。
 今年で幼稚園は、35周年、小学校は23年目、中学校は17年目、高等専修学校は14年目を迎えています。どの園校でも、創立にちなむ学園長先生からのお話の後、園児・児童・生徒より東の子として、創立を祝う言葉があり、創立者の願った子どもの姿や学園に通わせてくださるご両親への感謝の気持ちをあらためて思う機会になりました。子どもたちはおみやげのカレンダーとおまんじゅう(今年は卒業生が勤めているのお店からのものとしました。)を持って晴れ晴れと帰宅していきました。

幼稚園

 学園内での設立が最も古くても、いつも若さあふれる幼稚園。園庭いっぱいに流れるおいしそうなにおいに心ひかれながら、子どもたちはお父さんやお母さんの手をひいて、まずは自分のつくった作品を見せようといっしょうけんめいに幼稚園内を案内していました。
 展示作品は、年少児はペーパーマッシュをつかっての動物などの顔、年中児は和紙を張り込んだ動物の立体、ひとつひとつに心のこもった個性的な名前がついています。保育治療部のクラスも作業面の上達を披露しました。年長児はクラス共同製作の大きな造形。保育室のいっぱいに絵本『にじいろのさかな』の世界が広がります。(学園祭への導入は、にじいろのさかなから、幼稚園のおともだちにメッセージが届いた、という設定から始まっています。)子どもたちにとっての楽しみは催し物(劇団バクの『みにくいアヒルの子』)や先生と遊べるゲームコーナーなど、幼稚園が丸ごとお祭りになった心弾む一日でした。

小学校

 小学校は、午前中に劇発表会、お昼にビンゴ大会、午後には催し物(バンタン芸術学院による劇)、と盛りだくさんの一日でした。展示では、今年の重点である「環境」や「一人通学」(治療クラス)を共通テーマとして全学年で取り扱い、様々な角度から児童の取り組み、考えたこと、努力したことを表現しました。教室に並べられた様々な作品の中に、558人の児童一人ひとりの生き生きとした姿がかいま見られたのではないでしょうか。
 治療クラスの劇発表は、今年は1年生が「おもちゃのチャチャチャ」、2年生が「ブレーメンの音楽隊」、3年生が「こぶとりじいさん」、4年生が「トム・ソーヤの冒険」、5年生が「うらしま太郎」、6年生が「はだかの王様」でした。実は本番前の金曜日には全校児童の前で本番さながらのリハーサルがあったのですが、小学校の舞台が普門館でもあるかのような盛り上がり。役になりきる中に意外な一面を見つけたり、やはり堂々と演じる姿はすごいと感じたり、お互いを認めるよい機会となりました。
 また今年の学園祭の看板は児童のデザインによるもので、6年大木まどかさんのデザインが採用されました。 

中学校

 中学校学園祭運営の中心となるのは友愛会組織の学園祭実行委員会です。実行委員会が企画の段階から、生徒自身の手で学園祭を作り上げてきました。クラスで模擬店を出し、全員が販売に携わるのも小学校とは違うところ。専門教科の作品(陶芸作品、紙工芸作品)も売れ行き上々でした。野外ステージでは有志生徒によるダンス、歌など。また実行委員会による「未成年の主張」もユニークな企画でした。CDEクラスの劇発表(1年生「いろはがるた」、2年生「徳川光圀漫遊記」、3年生「坊ちゃん」)は生徒全員で鑑賞する学園祭の目玉。大道具の係や進行はABクラスが担当しています。はっきりしたセリフや感情の込め方など、中学生らしい成長を感じられた方も多かったのではないでしょうか。催し物としては、今年は前日の関東大会で見事銀賞を獲得したマーチングバンド部の演技を鑑賞しました。
 展示では、日頃の学習量がうかがわれる分厚いノートが目をひいたことと思います。生徒にとって楽しい一日であることは違いありませんが、「自分たちの作った」といった実感がひと味加わった学園祭でした。

高等専修学校

 ご存じの通り、高等専修学校は「紫峰祭」という独自の名称を持ち、実行委員長を中心に生徒が主体となって運営されています。
 まずは式典の日の午後に行われた前夜祭、1年生ながらもセンスあるコント、迫力のミスコンテスト(ただし男子による)、しみじみとしたバンド演奏や歌など。生徒から、また共にいる先生からもこの学校の一員であることが本当にうれしいといった雰囲気が伝わってくるイベントでした。
 翌日は大勢の来校者を迎えて、生徒たちは自分の仕事に専念します。百人を超える卒業生がこの日を楽しみに訪問してくるのも、東学園や最終卒業校である高等専修学校が自分の実家であるかのように感じているからではないでしょうか。
 毎年好評を得ている陶芸科による陶芸作品と被服科による手作り品の販売、絵画展、友愛会の企画によるプレイランド、生徒がインストラクターになっての初級コンピュータ教室、調理科のレストランなどで、校内はにぎわいました。生徒による収益の一部は、先日紫峰祭慰労会にて全員で鑑賞した『パーフェクトナイン』という映画の上映分担金にあてられました。

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エコ学園祭

 今年の学園祭では無駄遣いをしない、そしてゴミを減量するといった試みもなされました。模擬店で使い捨てのトレイや缶入りの飲料を減らしたり、また保護者の皆様にもゴミの持ち帰りをお願いしました。その結果予想を大幅に下回るゴミの量(昨年度の約十分の一)となり、児童や生徒にも、環境を考える良い実地教育となりました。
 今年も学園祭を盛り上げ、支えてくださったのは、子どもたちの応援団である保護者の皆様でした。役員の方々を中心にした綿密な計画、全保護者の方からの様々なお力添えに深く感謝いたします。

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《目次》

情報発信と教育発信
  学園長 野田 彰

【学園総合】

創立35周年学園祭
 幼稚園
 小学校
 中学校
 高等専修学校

エコ学園祭

 

 

《東だより》

第1号(H11.7.19発行)

第3号(H12.3.9発行)

第4号(H12.7.18発行)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「おいしいね、お母さんの模擬店」
(写真 野田 彰先生)

 

 

 

 


3年 こぶとりじいさん

 

 


「大盛りにしておきました

 

 

 


味のある一品、東焼き