武蔵野東学園広報 第55号
2020年 3月9日発行

180-0012 東京都武蔵野市緑町 2-1-10
Tel. 0422-52-2211㈹ Fax. 0422-53-1090
http://www.musashino-higashi.org

 学園ホームページへ

  多様性を尊重できる人材の育成

武蔵野東教育センター 所長 計野 浩一郎

目  次

 P.2 幼稚園
 P.3 小学校
 P.4  中学校
 P.5  高等専修学校
 P.6  教育センター
 P.7 学園総合
 P.8 お知らせ

    『東だより』 バックナンバー

 2019年度は、創立55周年の節目の年度でした。この間、社会の変化は著しく、人工知能(AI)、IoT、ビッグデータなど、先端技術の活躍から目が離せない状況が続いています。それらは教育においても次世代を担う子どもたちの教育に欠かせない存在になってきており、情報活用能力を育成する教育を学園でも進めています。子どもたちが社会に巣立つときには、文化・国籍・年齢・性別・障害などを問わず、多様な人と連携・協働しながら進歩・発展させていける人材が求められる社会になっていると思われます。その社会で活躍するための基礎・基本をしっかり身につけ、多様な人との関係の中で力を発揮できる人に育てる教育をさらに展開していく必要があると思います。
 学校へ導入されてきている情報機器ですが、子どもたちの学びにはとても有効なツールであることは皆さんご承知の通りだと思います。しかし、ITで知識は得られますが、多様性や社会性を身につけるのは、学校、集団の中で自分がどう行動するか、実体験で学ぶ場が必要です。一人ひとりの子どもが、自分の良さや可能性を認識し、他者を尊重し、多様な人々と協働しながら豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会のつくり手となるように育成することが求められています。
 そのためには、他者の立場を想像して、理解しようする自発的で知的な能力「エンパシー(empathy)」が重要です。自分と異なる個性をもつ仲間のいる学園、学級集団の場に身を置き、同じ場にいて、日常的に協調したり衝突したりしながらも相手を理解し、落としどころを探る知恵も身につけていくようにする混合教育(インクルーシブ教育)が欠かせないものになっています。
 これからの未来を支えていくのは、AIに仕事を奪われるのではなく、有用な情報と機器を活用する人材。自分の興味を深く追求し、好きなことを社会に生かしていける人材。他との協力、連携していける多様性を尊重できる人材の育成が重要です。また、「私はこれができる」という個性を持った人材を育てることも必要だと思います。そのためには、教える側も枠にはまらず教材も教え方も自分で工夫することで、子ども一人ひとりの知的好奇心を満たすための教育を前に進めていくことが、教師に課せられていることだと感じています。
 今年行われる「東京2020パラリンピック」は160を超える国・地域から史上最多4400人の選手が東京に集結します。パラスポーツそのものの魅力は多様性を楽しめるところにあります。個性として「みんなそれぞれ違いがあるけど魅力的だよね。」という気持ちになる人が増えたらいいなと思います。中でも今大会から導入されるユニバーサルリレー(視覚障害、立位の切断及び機能障害、脳性まひ、車いすの順番で、男女2名ずつ計4名で走る混合の400mリレー)は、障害の異なる4人の選手がつなぐのはバトンではなく“タッチ”。スピードを落とさず適切な場所にタッチすることは想像するよりはるかに難しいことでしょう。
 学園も文化・国籍・年齢・性別・障害などを問わず、心をバリアフリーにしてすべての方々とタッチし合えるように、また、他者の立場を積極的に理解しようとする「エンパシー」を育む教育を進めていきます。
 最後になりましたが、創立55周年記念事業募金へのご協力ありがとうございました。南アルプスチロル学園を活用して、子どもたちの「人と自然の関係、人と人との関係、心と体の関係を育むための教育」の場所として、活用していきたいと思います。

   次のページへ(幼稚園)