武蔵野東学園広報 第30号 【オンライン版
平成21年(2009年)3月9日発行

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   教師の後ろ姿で育てること ~学園の研究・研修の取り組みとともに~
           
武蔵野東第一・第二幼稚園 園長 加藤篤彦

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 学校での学びというと教科書での系統的な学習を考えがちですが、学びの多くは実は教科書の中だけでなく、いろいろな人との出会いの中にあるのではないかと思うのです。とりわけ教師の後ろ姿は、子どもの成長に大きく影響するのではないでしょうか。学校には人とかかわり合いの中から育つ・育てる場としての面白さと責任があります。
 幼稚園は、教科書を使った系統的な学習に入る前の段階です。互いのコミュニケーションは、言語よりもノンバーバル(言葉や文字ではなく、表情や動作など多様な身体表現)なコミュニケーションが中心です。だからこそ、人とのかかわり合いの中での「学び」という根源的なしくみがよく分かります。子どもは、とにかくよく見ています。「学ぶは、真似ぶ(=模倣)」から始まるように、視覚やその他の様々な感覚から、理屈や言語を超えて多くの情報を受け取って模倣するのです。ともに生活をする教師の所作や生きざまは総合的なモデルであり、だからこそ教師は生き生きしていることが大切です。
 もちろん個としての教師だけではなく、学園レベルでも同様に生き生きしていることが重要です。教育実践を広く外部の方にオープンにしているのも武蔵野東らしい明るさではないでしょうか。幼稚園は普段から保護者のいろいろな活動が活発で、保育と混然一体、園内はにぎやかです。未就園保護者の方には普段の様子をみていただいていますし、学園の特色である混合教育は、特別支援教育の先駆的取り組みとして大学の先生や学生、全国各地の行政や議員の方など、多くの見学をいただいています。昨年秋には、幼稚園で東京都私立幼稚園連合会主催での公開保育を実施しました。教諭を対象とした公開は確かに大変ですが、その大変さに向かい合えば、それだけ多くの学びをもたらしてくれます。また、年7回実施している学園半日研修は、学園全体の教職員が集まっての貴重な学びの場で、園校縦割りでの教科研究部活動での研究も意欲的です。さらに今年は幼稚園から15年間の一貫教育によって言語はどのように成長したかをフォローした発表があり、今、自分が担当している学年の取り組みが、幼児期のどのような取り組みから始まって、さらに将来の何につながっていくのかがよく分かる武蔵野東ならではの情報共有の時間となりました。
 このような取り組みは一例ですが、子どものために教師自らが学び続ける面白さを知ること、学びの価値を知って実践する教師の楽しそうな後ろ姿こそが、子ども自身の意欲をひきだすのだと思います。私たち教師・大人が、前を向いて生き生きと生活することが、「後ろ姿で育てる」ことなのです。
 ご家庭ではいかがでしょうか。どんなに○○(仕事、家事、育児、人間関係、勉強、部活…)が、大変かを主張する場になってはいないでしょうか。困難さをこぼせる温かさを基盤にしながらも、大変なのはおたがいさまと、苦労の中にある楽しさを表現できるようになれば素晴らしいですね。誰もがまず自らいきいきと「前を向く人」になる。これからも、その後ろ姿が子どもに見える武蔵野東でありたいと思うのです。

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